都会の喧騒の中で「宿縁」に感謝する
2026年01月14日
都会の喧騒の中で「宿縁」に感謝する――築地本願寺での新年初参拝
2026年の幕開け。仕事の合間を縫って、私の職場がある「築地1丁目 コンワビル」から歩いてすぐの築地本願寺へ、今年初めてのお参りに行ってきました。
毎日見上げているこのお寺ですが、新年の清々しい空気の中で改めて向き合うと、その荘厳な佇まいに背筋が伸びる思いがします。
1. 都会に溶け込む異国の情緒
地下鉄・日比谷線の築地駅出口のすぐそば、近代的なオフィスビルやマンションが立ち並ぶ中に、突如として現れる古代インド・イスラム様式の外観。初めて目にする人は、ここが日本のお寺であることを一瞬忘れてしまうかもしれません。
コンワビルから数分歩くだけで、空気が一変します。本堂へと続く道は、冬の澄んだ空気が通り抜け、ビルの谷間にありながら不思議な開放感に満ちています。
現在、本堂は保存修理工事が行われており、大きな足場が組まれています。2026年の今、こうして歴史を未来へと繋ぐための修復が行われている姿も、長い歴史の一場面に立ち会っているようで感慨深いものがあります。
重要文化財としての威厳は工事中でも損なわれることはありません。
2. ビルに囲まれた「お清め」の時間
本堂へ向かう前に、まずは「手水舎(ちょうずや)」へと向かいます。築地本願寺の手水舎は、周囲を高いビルに囲まれた非常に都会的な場所に位置しています。
冷たい水で手を清めると、仕事の緊張感や都会の喧騒がふっと遠のき、心が静かに凪いでいくのを感じます。ビルの窓に反射する陽光が水面に映り、とても幻想的な光景でした。
3. 「宿縁(しゅくえん)」を喜び、自分を見つめる
築地本願寺には、一般的な御朱印はありません。代わりに、参拝の記念としてスタンプを押したり、毎月言葉が変わる「参拝記念カード」をいただいたりすることができます。
今月、私が手にしたカードには、力強く**「遠」**の一文字が記されていました。
カードの裏面には、浄土真宗の開祖・親鸞聖人がその著書『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』に記されたお言葉がありました。
「遠く宿縁を慶べ(とおくしゅくえんをよろこべ)」
幸運なことに、その場でお坊様から直接お話を伺う機会に恵まれました。お坊様は、「宿縁」とは単なる偶然ではなく、はるか遠い過去からの計り知れないご縁のことだと教えてくださいました。 「今、あなたがここに存在し、この場所に立っていること。それは目に見えない無数の繋がりによって導かれた奇跡のようなものです。そのご縁を喜び、感謝して過ごしなさい」 その言葉は、忙しさに追われていた私の心に深く染み渡りました。解説にあった「目先の事象に流されそうなとき、静かに自分を見つめたい」という一節は、まさに今の私に必要な教えでした。
4. 阿弥陀様の願いを味わう「18品の朝ごはん」
心を整えた後は、敷地内にある「築地本願寺カフェ Tsumugi(ツムギ)」へ。ここで有名なのが、見た目も華やかな**「18品の朝ごはん」**です。
この「18」という数字は、阿弥陀如来が立てられた「あなたを決して見捨てない」という第18番目の誓い(第18願)に由来しているそうです。お品書きを見ると、「つきぢ松露の卵焼き」や「築地江戸一の黒豆」など、築地の名店の味がずらりと並びます。
一つひとつの小皿を丁寧に味わう時間は、まさに「命をいただいている」という実感を与えてくれます。温かい「かぶせ茶」とともにいただくお粥は、冷えた体に優しく染み渡りました。
ちなみに、この朝ごはんの目安は以下の通りです。
・エネルギー:約580 kcal
・糖質(脳のエネルギー源):約85 g
・脂質(細胞の材料):約12 g 健康にも配慮された、非常にバランスの良い一膳です。
5. 世界と繋がる場所
カフェを出ると、境内はさらに多くの人々で賑わっていました。驚いたのは、海外からの方々の多さです。言葉や文化は違えど、この場所が放つ穏やかな空気は、世界中の人々を引き寄せているようです。
本堂を改めて見上げると、その細部まで施された精巧な装飾に目を奪われます。空を見上げるような角度で本堂を捉えると、歴史の重みと、それを守り続けてきた人々の想いが伝わってくるようです。
結びに
参拝を終え、職場であるコンワビルへと戻る足取りは、来る時よりもずっと軽やかでした。
「宿縁」を慶ぶ。 目の前の仕事に追われる日々の中でも、自分が今ここにいられる不思議なご縁に感謝すること。そして、阿弥陀様の「見捨てない」という願いに包まれていることを忘れずにいたいと思います。
会社のそばに見えるいつもの景色。けれど、今日お参りしたことで、その景色はまた違った意味を持って私に語りかけてくれる気がします。
